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仏事の豆知識

施餓鬼(せがき)とは?――その意味と由来を知ろう

2025年05月24日

お盆やお彼岸の時期になると、寺院で「施餓鬼会(せがきえ)」という法要が行われることがあります。でも、「施餓鬼って何?」「先祖供養とどう違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?

今回は、あまり知られていない「施餓鬼」について、わかりやすくご紹介します。


施餓鬼とは?

「施餓鬼」とは、餓鬼道に落ちた亡者(もうじゃ)――つまり、飢えと渇きに苦しむ霊に対して、食べ物や飲み物を施す(ほどこす)仏教の行事です。

仏教では、人は死後に六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天)のいずれかに生まれ変わるとされています。餓鬼道に落ちた魂は、どんなに食べ物を手に入れても口に入る前に炎と化してしまうなど、終わりなき飢えに苦しんでいるといわれます。

そんな餓鬼たちに供物を捧げ、救いを祈るのが施餓鬼の目的です。


なぜ施餓鬼を行うのか?

一見、自分のご先祖様とは関係なさそうに思えるかもしれません。しかし、実はこの法要には「縁のない霊」――つまり、誰からも供養されることのない霊も供養するという意味があります。

また、仏教では「回向(えこう)」という考え方があります。これは、他者のために行った善行が巡り巡って自分自身の功徳にもなるというものです。つまり、施餓鬼で他者の霊を供養することは、自分のご先祖様にも、そして自分自身にもよい影響をもたらすと考えられています。


施餓鬼の由来

施餓鬼の由来は、『仏説救抜焔口餓鬼陀羅尼経(ぶっせつくばつえんくがきだらにきょう)』というお経にあります。

このお経によると、お釈迦さまの弟子・阿難尊者(あなんそんじゃ)が修行していた際、餓鬼の姿をした亡者が現れ、「お前もいずれ餓鬼になる」と告げます。驚いた阿難はお釈迦さまに相談し、教えられた供養の作法を実践したことでその餓鬼たちが救われ、自分も災いを免れることができたといわれています。


施餓鬼法要で行われること

施餓鬼法要では、壇の上に「施餓鬼棚」と呼ばれる特別な供養台が設けられます。そこに水や飯、果物、野菜などの供物が供えられ、読経が行われます。餓鬼たちがその功徳によって救われるよう祈りが捧げられます。

多くの寺院では、先祖供養もあわせて行われ、施餓鬼は「広くすべての霊への供養」として、仏教の慈悲の心を象徴する法要ともいえるでしょう。


おわりに

施餓鬼は、単なる「怖い話」や「伝統行事」ではなく、誰かを思い、祈る心を表した美しい仏教行事です。供養の輪を広げることで、自分自身もまた救われていく――そんな仏教の教えが込められているのです。

今年のお盆やお彼岸、施餓鬼の法要に参加する機会があれば、ぜひその意味を心に留めてみてください。

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